教えて、先生!「更年期と閉経の真実」

Aさん(52歳)
月経不順に困っています。
建設会社勁務。夫と2人暮らし。仕事は残業が多く忙しいが、休日は野球観戦や映画など夫格共通の楽しみも。最近、月経不順が続いている。 子宮筋腫があり、経過観察している。

Bさん(50歳)
頭からどっと汗が出る。
主婦。夫と大学生、高校生の子どもと4人暮らし。家族の起床時間や帰宅時間に合わせるため睡眠不足気味。最近、頭からどっと汗をかいたり、疲れやすい。子宮筋腫がある。

編集Y(45歳)
疲れると不調が増える
夫と子ども3人の5人暮らし。忙しい日々で、疲れがたまると不調が多くなる。最近、物忘れが多くなったり、ひざや足首が痛むなど、なんとなく更年期が近づいてきた感あり。

「月経不順もつらい症状も、時期が来たら必ず終わります」

突然の出血に大あわて……

A    ここ1年半ぐらい月経不順が続いています。先日は急な出血でズボンにまで血がにじんでしまい、急いで腰にカ—ディガンを巻きつけたりして、大変でした・・・・・・

松村  Aさんは52歳。年齢からすると、月経が不規則な時期が続いて、その後、1年間月経が来なくなつたら「閉経」です。それまでは急に出血して、慌てたりするこ ともあるでしょうね。血液検査でホルモンバランスを見ると、閉経に近い数値なのに月経はあつたりなかつたり、という状況の人がけっこういる。こういった月経不順が続く時期は個人差が大きく、中には2年間くらい続く人もいるんですよ

A    次はいつ月経が来るのかを知りたいです。毎日基礎体温を測れば分かりますか?

松村  この時期の出血は、排卵をしていない「無排卵出血」であることが多いので、基礎体温で予測できないの。ホルモン補充療法(HRT)を行うと、出血時期がほぼ定期的になるので不意の出血は避けられます。気をつけたいのは、月経不順だと思っていたら子宮体がんによる不正出血だったというケースがあること。子宮の奥のほうのがんで、多くの人は不正出血から始まります。しかも子宮体がんは、更年期以降に多いの。

B     ええつ。不正出血と更年期の月経の出血つて、違いが分かるものなのですか?

松村  月経不順だと出血があってもいったんは止まりますが、子宮体がんは茶色っぽい血液がだらだらと出続けることが多いですね。でも、更年期は月経の出血が1カ月くらい続くこともあるから、素人判断は危険。おかしいなと思ったらすぐに医師の診療を受けて。

編集Y 出血が予測できないって大変ですね。ずっとナプキンを当てておくわけにもいかないし。

松村  でも、いずれはなくなるのですから、「ずつと続くわけではない」と気持ちを切り替えるのも一つの方法。それに、更年期は他の症状もいろいろ出てくるから、はっきりいって不正出血どころじやなくなる人も多いんですよ。

B    私は最近、頭からどっと汗をかくんです。

松村  Bさんもぼちぼち更年期症状が出始めたということね。女性ホルモンの急激な減少につられて自律神経も一緒にバランスを崩し、体温調節がうまくできなくなって汗をどっとかいたり、ほてりが出たりします。そういったときの汗は心地よい汗ではなくて、部分的にかき、べとべとと蒸発しにくいのが特徴ですね。

A    初歩的な質問ですが、更年期って老化の一種なんですか?

松村  その通り(笑)。”卵子の老化”が話題になっていますが、卵子の老化は37歳ぐらいからー気に進みます。一方、卵巣の寿命は50歳ごろで、閉経とイコール。卵巣が老化するから、女性ホルモンを出せなくなります。すると脳が「ホルモンを出せ」と通常の10倍もの指令を出してくるんです。

B    10倍も!あちこち不調が出ても当然ですね。

松村  現代人は寿命がぐんと延びたとはいえ、卵巣の寿命は昔から変わらない。卵巣の寿命が尽きて閉経しても、それは一つの迎過地点と思えばいい。更年期以降は”セカンドハネム—ン”なんていったりもするんだから。

「”こうしているとラク”という逃げ道を持っておくことが大切よ」

根底に心の症状を持っている人が多い

編集Y 心の不調を訴える方も多いようですね。私などは自分がそうなりそうで、気になつています。

松村  クリニックを受診する人も、最初は体の症状を訴えてくるものの、根底には心の症状を持っていることが多いです。腹が立って仕方がない、眠れない、うつっぽいなど。日々の家事ができなくなったり、外出できなくなる人もいます。

編集Y 悪化しやすい要因などはあるのでしょぅか。

松村  もともとストレスをためこみやすい性格であるとか、夫婦や姑などの人問関係、介護問題など環境的な要素も影響しています。この年代の女性はみな、自分より夫や家族を優先して生きてきた人が多いので、「これからは自分がラクになるように過ごしていいんですよ」とアドバィスしています。これまでできていたことができな くなつてもいいじやない?ってね。環境が似通っている人とおしやべりするだけでも、すつきりしますよ。

「閉経した後は不調はスツキリ消える?」

子宮筋腫の症状は閉経後軽くなる

A    先生、私、子宮筋腫を経過観察中なんです。母も子宮筋腫があり、2年前に70代で摘出手術をしました。術後かなりつらかったらしく「あなたは体力があるうちに 取っておきなさい」と言われて。

松村  子宮筋腫は、小さいものも含めると3〜4人に1人は持つているとされます。女性ホルモンの影響で大きくなるの。だから、閉経後、多少は小さくなります。Aさんは月経痛、過多月経、貧血などの症状はありますか?

A    貧血があります。筋腫が原因と言われ、鉄剤をのんでいます。

松村  筋腫による不調が貧血だけなら閉経後は改善するでしよう。もう少しの辛抱ね。ただ、腸を圧迫するほど大きい筋腫だと、閉経後小さくなるといつても限度があるので症状によっては手術の検討も必要かも。

B    私はまだ更年期の症状はないのですが、もし起きても閉経後は症状が消えるのか、知りたくて。

松村  閉経してもしばらくの間、揺らぐ人はいます。平均閉経年齢である50歳の前後それぞれ5年ほどは何らかの症状を感じる人が多いです。でも、それは一時期のこと。10年以上症状が続く人は、別の要因や病気が隠れていることを疑います。症状がつらくなつたらHRTや漢方薬など、早期の対処をすることで症状は改善できます。HRTは副作用を怖がる人が多いのですが、期間を決めて使えば安全だし、症状も改善しやすい。漢方薬も、体質にばっちり合えば実は即効性があるものも多い。現代女性は症状も体質も多様化し複雑化しているから、治療中もしっかりと説明を受け、副作用や症状の改善の仕方などについても医師とコミュニケーションをとって進めていってほしいですね。

A    医療以外に、日常的にできることはありますか?

松村  「私はこうしているとラク」という、いわば”逃げ道”を見つけることが大事。クッション材のプチプチをつぶすのが好き〜とか、つまらないことでもいいんですよ(笑)。1日30分だけでも一人になる時間を作つて、好きなことに没頭できるようにするとずいぶん違います。アイドルの追っかけでもいい。ドキドキ、ワクワク、サプライズ、そんな気持ちを大切にできる人は強いです。

「閉経しても、しばらくは揺らぎがある人が多いわね」

閉経後、恋に積極的になる人も

B    そういえば、身の回りにも60代ぐらいの女性ですごく元気でアタテイブな人がいます。

松村  更年期のジェットコースターのようなホルモンの乱高下を超えると、女性はさらにたくましくなるの。女性ホルモンは滅っても、男性ホルモンはさほど滅らないから、思春期の男子みたいになる人もいますよ。

編集Y 思春期の男子みたいって、恋に積極的になるということ?

松村  そうそう。男性ホルモンはいわば性欲を司るホルモン。女性は更年期によって体調が惡くなったり、濡れにくくなって性交痛を感じ、性欲がなくなる人もいますが、逆の人もいて、妊娠の心配がなくなつた、と奔放になる人もいます。セックスにかかわらず、いろいろな好奇心を持つている人は脳を使うから、脳の老化も、見た目の老化も起こりにくいんです。

編集Y 私、物忘れが激しくなってきています。これも更年期??

松村  ああ、それは更年期もあるけど、老化老化!(笑)。私も人の名前が出てこなかつたりすること、ありますよ。悔しいから、悪化させないためにセルフトレ—ニングしています。数字を見ると引き算するとかね。女性ホルモンのエストロゲンは、記惊力や思考力、計算力も司るから、衰えないよう努力も必要です。

もう一つ、みなさんにお伝えしたいのは、閉経後は「ただで使える美容液がなくなる」ということ。お肌はもちろん、血管も骨ももろくなって、動脈硬化を引き起こし たり、骨粗しょう症になったり、心筋梗塞や脳梗塞リスクも高まります。骨量は、閉経後の10年間で約10〜20%も減るのよ。これまで女性ホルモンに守られていたのに、病気のリスクは一気に男性に追いついてしまう。だからこそ、きちんと定期健診を受け、生活習慣に気を配って。

編集Y これからは第二の人生に向けて、自分のための時間を作って、しっかり体をメンテナンスしていくことが大切なのですね。松村先生、ありがとうございました。

「ドキドキ、ワクワク、サプライズ。そんな気持ちを大切にできる人は強いです」

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